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結婚式のカメラマンには「100点の写真撮影」よりも大切なものがある

スクリーンを笑顔で見つめる新郎新婦

こんにちは、ウェディングフォトグラファーの松元 馨(かおる)です。

私は、カメラ目線の記念写真を除いて、なるべくフラッシュを使わずに撮影を行います。
それは、暗転した披露宴会場でも同じです。

暗い場所でフラッシュに頼らずに、ある程度の明るさをもった写真を撮ると、画質が落ちます。
写真にノイズ(ザラッとした粒子)が表れ、細かい線がぼやけてしまうのです。

例えば、次の2つの写真。
両方とも、ムービーの上映中にフラッシュを使わずに撮影したものです。
パッと見た感じで、画質は気になるでしょうか?

スクリーンを見て笑う男性ゲスト

ムービーを見て笑うゲストたち

暗所で撮った全ての写真には、撮影後にノイズを目立たなくする処理を施しています。
なので、写真を何倍にも拡大して画質をチェックするような人でもない限り、ほとんど気にならないのではないでしょうか。

それでも多くの撮影会社では、このような撮り方をすると「ちゃんとフラッシュを使って明るく撮れ」と怒られてしまいます。
「プロカメラマンなら高画質の写真であることが大前提」と。

私がなるべくフラッシュを使いたくないのは、新郎新婦がゲストのために時間をかけて作り上げた結婚式の世界を壊したくないからです。

披露宴のクライマックスで上映される、新郎新婦手作りのムービー。
スクリーンに映し出されているのは、一人一人のゲストへのメッセージ。
そんな状況で私にとって最も大切なのは、フラッシュを使った高画質の写真を撮ることではありません。
なるべく目立たない方法で撮影することで、メッセージを読んでいるゲストの感情を邪魔しないことなんです。

そうすることによって、「今撮られてる」と意識をしてこわばった顔のゲストではなく、嬉しそうにスクリーンを見つめる自然な表情のゲストを写真に残すことができる。

結婚式のカメラマンには、2つのタイプがいます。

・写真撮影を最優先するカメラマン
・あなたの結婚式を最優先するカメラマン

私は、後者のカメラマンです。

私の写真は、本当にあなたが求めているものですか?

自分の商品の魅力をアピールして、1人でも多くの人に買ってもらう。
それは商売として、正しい考えです。

買い直しのできる商品に限っては。

結婚式撮影のお問い合わせを受けたときに私が考えるのは、「ここからいかに撮影依頼の決定にこぎつけるか」ではありません。
「この新婦さんが残したいと考えている写真と、私が撮っている写真は、果たして近いのだろうか」ということです。

花嫁さんの中には「プロのカメラマンなら、うまいこと撮ってくれるだろう」と考えている人も多いようです。
でもこれは、とても危険な考えです。

例えば、特別な記念日に「何か美味しいものが食べたい」となったとき。
「フレンチ、イタリアン、中華、和食…うーん、どれにしよう」と、好みや気分に合った専門家(店)を探すはずです。
「どんな料理の専門家なのかはわからないけど、プロの調理人ならきっと満足させてくれるだろう」と考える人はいないですよね。

結婚式のカメラマンを探すときにも、同じ感覚をもってほしいんです。
プロのカメラマンでも、必ず得意・不得意があります(本人が自覚しているかどうかは別として)。
また、どんなに細かいリクエストを出しても、写真には必ずカメラマン独自の視点や価値観が表れます。

私が他の多くのウェディングフォトグラファーよりも得意としているのは、「感情が見てとれる自然な表情の写真」「場の空気の温度が感じられる写真」です。

一方で、「今流行っている写真」「誰が見ても絵になる写真」はあまり追求していません。
インスタ映えする写真の撮影が私より上手いフォトグラファーは、世の中にたくさんいるでしょう。

もしあなたの中に「インスタ映えする写真」を残したいという強い希望があるのなら、「私の写真では満足できないかもしれませんよ」と事前に必ずお伝えします。
それと同時に、あなたが望む写真を撮ってくれそうなカメラマン探しのヒントもお伝えしたいと考えています。
例えば「オシャレで絵になる写真」がお望みなら、「ウェディングの他に、ファッションや広告系の撮影経験もあるフォトグラファーを探してみると、オシャレな写真に強いかもしれない」というように。

繰り返しますが、私にとって最も大切なのは、あなたからの撮影依頼をとりつけることではありません。
たとえその相手が私でなくても、あなたが望んでいるものを確実に届けてくれるカメラマンを見つけてもらうことです。

撮影のお問い合わせ後に、必ずお顔合わせをお願いしているのはそのためです。
お顔合わせの場で、あなたが求めている写真と私が撮っている写真との間にズレがないことを確認できて初めて、依頼を決めていただきたい。

私とのお顔合わせの後には、ぜひ他のカメラマンにも会いに行ってみてください。
やり直しのできない結婚式の撮影です。
「この人に頼んで本当によかった」と思える人を探してください。