『ポートレートモデルが安全に活動するために|セクハラ回避のポイント』の記事について、次のようなご意見をいただきました。
「男性カメラマンによるトラブル防止のためには身元確認が一番。撮影前にカメラマンの免許証を見せてもらえばいいのでは?」
確かにカメラマンの身元確認をすることで、犯罪の抑制効果はあると思います。
ただ、この方法を僕が胸を張ってモデルさんにお勧めできるかというと、ちょっと難しい。
それはモデルさんにとって、リスクが大きい方法だからです。
女性モデルが男性カメラマンに身分証の提示を求めるリスク
まず、モデル側からカメラマンに身分証の提示を求めるということは、相手からも同じ要求をされかねません。
「俺があなたに免許証を見せたんだから、あなたも身分証見せてよ。じゃないと不公平でしょ?」と言われたときに、相手を納得させる言葉が思いつくでしょうか。
モデルさんの中には、↓のやり方をしている人もいます。
- 撮影を始める前に、モデルとカメラマンがお互いの身分証をスマホで撮影
- トラブルなく撮影を終えたら、スマホから相手の身分証の画像を消す
この方法は公平なように見えて、実はモデルさん側のリスクが高いです。
相手に住所を知られたことをきっかけにトラブルに巻き込まれるのは、男性カメラマンよりも女性モデルの方が圧倒的に多いから。
ポートレート撮影の世界で、撮影後に男性カメラマンがストーカーとなってモデルにつきまとう事件は珍しくないのです。
それに「撮影終了後にお互いのスマホから身分証の画像を消す」とはいっても、その前に同じ画像を別の場所に複製すること(クラウドに自動保存、SNSに非公開で投稿、メール送信など)は簡単にできます。
すると結果的に、あなたのスマホからはカメラマンの情報が綺麗に消えますが、カメラマンの手元にはあなたの名前も住所も残ることになる。
そう考えると、モデルさんが身分証の提示をカメラマンに求めるのはやっぱり危ない気がします。
カメラマンの顔写真を残そう
僕がモデルさんにお勧めしているのは、事前にカメラマンの顔写真を送ってもらう方法です。
(当日撮影の前に写真を撮らせてもらうのもOK)
そもそもカメラマンの手元には作品という名のモデルの写真が大量に残るのに、モデルの手元にはカメラマンの顔写真は1枚も残らないという前提がひどくアンバランスなんです。
犯罪目的のカメラマンが嫌がるのは、自分の情報が被害女性の元に残ることです。
SNSアカウントのように簡単に変更・削除ができる情報ではなく、顔写真・本名・住所・勤め先などのリアルな情報は、相手に残したくないんです。
なので、カメラマンの顔写真をモデルさんが持っているというだけでも、ある程度の抑制効果はあるはず。
一つ注意として、カメラマンから顔写真をもらうときは、相手の表情がきちんとわかるものを要求してください。
カメラマンのプロフィールアイコンにありがちな「ファインダーを覗いている写真」だと、顔がほとんどわからないので意味がありません。
「どんな言い方でカメラマンの顔写真を要求したらいいかわからない」という人は、↓の記事で紹介している「撮影の約束ごと(例文)」の最後に顔写真を求める文章があるので、コピペして自由に使ってください。
