KAORU MATSUMOTO Photographer

男性カメラマンのストーカー化を防ぐために

「撮影のときは感じのいい人だったんです。でも撮影が終わった後も頻繁に連絡が来るようになって、段々とエスカレートしていきました」

男性カメラマンによるストーカー経験のあるモデルさんが、当時の様子をそう語ってくれました。

ストーカーを未然に防ぐためには、相手を異性として勘違いさせないことが大切です。
特に「自分ではそんなつもりはないのに、いつのまにか好意を持たれてると男性に勘違いされることが多い」という女性は要注意です。

若い女性のポートレートを趣味で撮っているカメラマンのメイン層は、中高年男性です。
その中でも特に、恋愛経験や女性との関わりが少ない男性は、モデルさんの何気ない行動や言動を「自分への好意」と思いこむことで、異性的な勘違いをしやすいです。

モデルさんがDMにハートの絵文字を入れただけで、「この子は俺のことが好きなんだ」と思いこむカメラマンが本当にいるんです。

カメラマンとの距離感に波を作らない

冒頭の女性モデルさんにストーカー被害にいたるまでの流れを聞いてみると、次のように教えてくれました。

「撮影の時間はとても楽しく、撮ってもらった写真もすごく素敵だったんです。
まだモデルを始めたばかりの私は嬉しくて、しばらくの間そのカメラマンのSNSアカウントに気軽に絡みにいったり、暇なときにはDMで雑談をすることもありました。
でも、私に他のカメラマンさんとのつながりもできてくると、段々とそのカメラマンさんと連絡をとることは減っていきました

相手の男性をエスカレートさせる原因はここにあります。

男性カメラマンをストーカー化させないためには、相手との距離感に波を作らないこと。
「この人とプライベートでも仲良くなりたい」と思わないなら、親しくなりすぎないように、最初から最後まで一定の距離を保ってください

特に自分の意思表示が苦手で流されやすい人は、相手が話上手だとついそのペースに乗せられてしまいがちです。
街中のナンパや怪しいスカウト系の男性に声をかけられたときに、無視して歩き続けることができず、つい立ち止まって話を聞いてしまうような方は要注意。

相手がどんなタイプだろうと自分の姿勢を変えず、淡々とやりとりする意識をもってください。

撮影前後のやりとりで気をつけること

撮影前後のDMやメールでのやりとりの中にも、男性カメラマンを勘違いさせかねない行為があります。
ご自分で思い当たるものがないか、チェックしてみてください。

撮影と関係のない雑談をしない

事前のDMでのやりとりでは、撮影に必要な確認だけをすること。
相手のカメラマンから撮影と関係ない質問をされても、答えずに流すか「お答えしかねます」とはっきり拒否の意思表示をしてください。

撮影に必要な確認が終わったら、「それでは当日よろしくお願いします」などの形で、さっさとラリーを終わらせること
ダラダラとカメラマンの雑談に付き合っていると、「いつでも話し相手になってくれる」と勘違いされる可能性があります。

電話は避ける

事前・事後のやりとりはDMやメールのみにすること。
電話やSNSでの通話などを相手に求められても、応じないでください。

電話だと必要な確認だけで終わらず雑談に流れて長引くことが多く、切るタイミングを見失いがちです。
それに電話は、DMやメールのように「返事をする前に立ち止まって冷静に考える時間」がとれません
また、相手の男性に「電話で声を聞かせてくれた」と異性的な勘違いをさせるおそれがあります。

使う絵文字やスタンプに注意する

「ハートの絵文字=俺のことが好き」と思いこんでしまう男性がいます。
普段から使う癖のある人は、無難な絵文字に置きかえてください。
いつもよりちょっと固いくらいの文面の方が、相手を勘違いさせないという意味ではちょうどいいのかも。

事後のお礼は「撮影限定」の言葉選びを

楽しい撮影・素敵な写真をくれたカメラマンには、感謝の気持ちを伝えたくなりますよね。
もちろん、思いを率直に伝えるのは悪いことではありません。

ただ、長引かせないように注意してください。
伝えることを伝えたら、スパッとラリーを終わらせること。
相手の返事にいつまでも律儀に言葉を返していると、切りどころがわからなくなります。

また、カメラマンに感謝の気持ちを伝えるときは、「カメラマンさんとしての気遣いが〜」とか「写真の優しい空気感が素敵で〜」のように、その褒め言葉の対象はあくまでも「撮影に限ったこと」だとわかるような言い方をした方がいいです。
「〇〇さんの優しさがとっても嬉しかったです!」のような言い方をすると、「俺は男として褒められてる」と受けとられかねません。

素敵な写真を撮ってもらった後は、特に気持ちが高ぶりやすいので注意してください。

撮影当日の注意

撮影当日にカメラマンとの雑談が盛り上がれば楽しい時間になるし、写真の中の表情もやわらかくなりますよね。
僕も撮影のときは、モデルさんとたくさんの雑談をして一緒に笑っています。

それでもやっぱり、モデルさんはカメラマンに対して一定の警戒心をもっておくべきです。
その場を楽しみながらも、「自分の中のOKとNGのラインを絶対に崩さない」という意識を、胸の奥に置いておくこと。

撮影当日にカメラマンを勘違いさせないためには、次のことに気をつけてください。

カメラマンを下の名前やニックネームなどで呼ばない

親しい呼び名は、思った以上に相手の心の距離感を麻痺させます
相手のカメラマンがあなたを「〇〇ちゃん(下の名前)」とフレンドリーに呼んできても、あなたはカメラマンを「〇〇(名字)さん」と呼んでおいた方が無難です。
SNSアカウント名しかわからない場合でも、「アカウント名+さん」の距離感を崩さないこと。

恋愛系の話をしない

カメラマンの中には、恋愛系の話を振ってくる人がいます。
恋愛の話も相手を勘違いさせることにつながるので、「どうなんでしょうねー」と流すか、「そういうのは答えたくありません」ときっぱり拒否した方がいいです。

前に僕のポートレート撮影に来てくれた大学1年生の女の子がいました。
被写体活動をしようと思った理由を聞いてみると、彼女はこう答えました。

「今まで部活ばかりやってたから、それ以外のことをあまり知らないんです。恋愛経験も少なくて。だから大学からは色んなことにチャレンジしてみたいと思って」

この「恋愛経験が少ない」という言葉もけっこう危ない
恋愛経験の少ない男性カメラマンが「この子なら俺でもいけるかも」と勘違いします。

もう一つ危ないのが、好きなタイプの話。
仮に本当のことでも「大人の男性が好き」なんて言っちゃダメですよ。
「落ち着きと余裕のある大人の男性が好き」なのに、落ち着きも余裕もない年配男性を舞い上がらせる可能性が高いです。

相談ごとをしない

学生のモデルさんの中には就活などの悩みを話したくなる人もいるかもしれませんが、これもやめた方がいいです。
この子は俺を特別に頼りにしている」「俺がこの子を守ってあげないと」と勘違いさせかねません。

自宅・学校・職場の場所についての話をしない

前に僕の撮影に来てくれたモデルさんで、待ち合わせるなり「この撮影場所、うちからすぐ近くだったので助かりました。歩いて来れたんですよ」と言った人がいました。

自宅や学校・職場の場所のヒントになるようなことは、相手から聞かれても絶対に言わないでください。
相手がストーカー化してから危険な思いをするまでのスパンがグッと早まります

同じカメラマンに2度3度と撮ってもらうときの注意

一度撮影してもらったカメラマンとの再撮影では、事前のやりとりもくだけた口調になりやすいです。

モデルさんの「撮影が楽しみです!」という言葉に対して、カメラマンが「俺も早く会いたいよ」と返してくるなど、相手の言葉に少しでも違和感を感じたらすぐに関わるのをやめた方がいいです。

また、面識のあるカメラマンからは「一緒に衣装を選びに行こう」「撮影の打ち合わせで飲みに行こう」と、撮影当日の他にもお誘いを受けることがあります。
そのときに、乗るべき誘いとそうでないものとをはっきり区別してください
繰り返しますが、流されやすい人は特に「自分にとって、相手にとってどんなメリットがあるのか」をよく考えた上で、お誘いに乗るかを判断してください。

一度でも誘いに乗ると、恋愛経験の少ない男性は「このチャンスを逃したら次はない」と必死になって執着するおそれがあります。

僕が勘違いしそうになったモデルさんの行動

今でこそ偉そうにこんな記事を書いていますが、正直にいうと、僕もモデルさんの行動や言葉に勘違いをしそうになったことがあります。

雑談中に笑いながら体に触れてきたり、撮った写真をカメラのモニターで確認してるときにぴったりくっついて覗きこんできたり、「一口もらってもいいですか?」と人の飲み物を手にとったり。

そのときの僕は「これ、気に入られてる?」と前のめりになりそうになる自分に「いや、小悪魔的なもてあそびでしょ」と言い聞かせてなんとか冷静になった覚えがあります。

人によってはそのまま突っ走ることもあるかと思うので、小悪魔女子は気をつけてください。
というか、こっちも精神的にヘトヘトになるので本当勘弁して。

※ストーカー以外の男性カメラマンとのトラブル防止策、対応方法については↓の記事にまとめています。