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友人として持ち込んだカメラマンが撮れる写真と撮れない写真

ウェディングフォトグラファーの松元馨(まつもとかおる)です。

たとえ持ち込み禁止の式場であっても、カメラマンを友人の一人として招待することによって、結婚式を撮影してもらうことができます。

自分で見つけたお気に入りのカメラマンに撮ってもらえるのは大きなメリットですが、友人としての持ち込みカメラマンには「通常の撮影と比べて行動範囲や撮影内容が限られる」というデメリットもあります。

そこで今回は、友人としての持ち込みカメラマンが「撮れるもの」と「撮れないもの」とをまとめてお伝えします。

カメラマンを友人として持ち込むときの撮影ルール

チャペルで向かい合う新郎新婦

持ち込み禁止の式場に友人として持ち込んだカメラマンは、式場内を自由に動きまわることができません。
他のゲストが立ち入り禁止の場所には、友人としてのカメラマンも入ることができないのです

細かいルールは式場によって異なりますが、一般的には次のような制限になることが多いです。

撮影内容 撮影の可否
お支度シーン
ロケーション撮影
(ポーズ写真)
受付
親族紹介
挙式リハーサル
挙式
※ゲスト席から動かずに
全員集合写真
披露宴
会場内を自由に動きながら撮影OK

つまり挙式・披露宴の写真はある程度撮れるけど、その他の場面の写真はほとんど撮れないということになります。

友人としての持ち込みカメラマンでは撮れない写真

ここからは友人としてのカメラマンでは撮ることのできない写真を、一つずつ詳しく見ていきましょう。

ブライズルームでのお支度写真

リップを塗る鏡越しの新婦

新郎新婦のお支度部屋であるブライズルームにゲストは入れないため、お支度シーンの撮影は難しいです。

ロケーション撮影(ポーズ写真)

ヒルトン東京のクリスマスツリー前の螺旋階段でのロケーション撮影

ロケーション撮影とは、式場内の絵になるスポットを回りながら撮影する新郎新婦のポーズ写真です。
ロケーション撮影をするためには、式場に撮影のための時間と場所を確保してもらう必要があります。
この撮影も、ゲストカメラマンの立場では難しいでしょう。

親族紹介

TKPガーデンシティ品川での親族紹介

親族紹介は、新郎新婦と両家親族によって行われます。
ゲストは立ち入ることができません。

挙式リハーサル

ウェディングキスのリハーサルで笑う新郎新婦

挙式リハーサルに参加するのは、新郎新婦と両家のご両親、リングガールなどのお手伝い役の人のみです。
ゲストカメラマンの同席・撮影は難しいでしょう。

新郎に指輪をはめる新婦の手元

このような手元アップの写真もリハーサルのときに撮影することが多いため、ゲストカメラマンでは撮ることができません。

全員集合写真

アーフェリーク白金の披露宴会場での集合写真

集合写真も、場所・時間の確保という点で式場の協力が不可欠な撮影です。
ゲストの立場では撮らせてもらえないことが多いです。

友人としての持ち込みカメラマンでも撮れる写真

次に、友人としてのカメラマンでも撮ることのできる写真を詳しく見ていきましょう。
ゲストの立ち入り・撮影がOKの場所であれば、友人としての持ち込みカメラマンも撮影ができると考えてください。

受付

受付の様子

受付が始まったらその様子を撮ることができます。

ウェルカムスペースの様子

アルカンシエル南青山でのゲスト待合室にやってきた女性

受付後にウェルカムスペースでくつろぐゲストの様子も撮影OK。

飾られた写真を見て笑う男性ゲスト

飾られた新郎新婦の写真を眺めるゲストのこんな表情も。
もちろんウェルカムボードなどのアイテム類も自由に撮影OKです。

挙式

バブルシャワーでチャペルを退場する新郎新婦

挙式中は他のゲストと同じく「席から動かない」という条件付きで撮影OKです。

↓の記事では、挙式で「ゲスト席から動かずに撮影した写真」と「自由に動きながら撮った写真」がどのくらい違うのかを場面ごとに比べて解説しています。

フラワーシャワー

挙式後に別の場所に移動してのフラワーシャワーやブーケトスなどのアフターセレモニーがある場合は、自由に動きながらの撮影OKです。

披露宴

多くの式場では、披露宴中は自由に動きながらの撮影OKです。

いくら友人とはいっても、カメラマンの動きや装備はプロそのものなので、式場スタッフは「あなた本当にゲスト?業者じゃないの?」という疑いの目でカメラマンを見ています。
それでも、立ち歩きながら写真を撮っているゲストは他にもチラホラいるので、カメラマンの動きだけを厳しく制限するのは難しいようです。

お見送り

送賓中に笑う新郎新婦と両親

披露宴おひらき後のお見送りの様子も撮影OK。

一緒に写真を撮れていないご親族やお友達がいたら、(式場からは急かされますが)このタイミングでカメラマンに撮ってもらいましょう。

友人としての持ち込みカメラマンが撮った写真を見てみよう

ここまでのお話を踏まえて、「結局友人としてカメラマンを持ち込んだらどれだけの写真が撮れるの?」という疑問にお答えします。

↓の記事では、これまでに私が友人としての持ち込みで撮影した結婚式の写真を2件ご紹介しています。

それぞれの結婚式の中で、友人としてのカメラマンがどんな動きをしてどんな写真を撮っているかを時系列順に詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

持ち込みカメラマンの選び方

外部のカメラマンの中には、プロだけでなくアマチュア〜セミプロも混在しているので、サービス内容もスキルも様々です。
そんな中で、少しでも失敗のリスクを回避するための方法を下の記事にまとめています。

ゲスト席から動かずにチャペル挙式をどこまで撮れる?友人としてのカメラマン持ち込み

ウェディングフォトグラファーの松元馨(まつもとかおる)です。

カメラマン持ち込み禁止の式場でも、カメラマンを一人のゲストとして招待することで、結婚式を撮影してもらうことができます。
この場合、ゲストの立場である持ち込みカメラマンは、挙式中は他のゲストと同じように席から動くことはできません。

席から動かずに撮った挙式写真でも、あなたは満足できるか
ここが、カメラマンの友人としての持ち込みを検討するときの大きなポイントになります。

そこで今回は、過去に私が撮った挙式写真で「ゲスト席から動かずに撮影した写真」と「自由に動きながら撮影した写真」を見比べてみましょう。

「ゲスト席で撮った写真」と「自由に動いて撮った写真」を見比べてみよう

私がゲスト席で挙式を撮影するときは、下の図の位置を選ぶことが多いです。

チャペルの俯瞰図とカメラマンの位置

「どうしてもっと前に行かないの?」というご質問には後ほどお答えするとして、まずはこの席から撮った写真と、自由に動きながら撮った写真をシーンごとに見比べてみましょう。
今回は、チャペルでの挙式を例とします。

新郎の入場


このときカメラマンは、最前列のご家族席の近くで撮っています。


ゲスト席からでも、入場する新郎の表情を問題なく撮ることができます。

新婦のベールダウン

ベールダウンをするお母さん
この写真も最前列のご家族席あたりからカメラを後ろに向けて撮っています。
新婦とお母さんの表情がわかる横顔のカットになっています。


ゲスト席からでも新婦とお母さんの横顔は問題なく撮れます。
この写真のようにカメラマンの後ろに座っているゲストの姿勢によって腕などが写り込むことがありますが、トリミングすれば大丈夫でしょう。

新婦の入場

プリンチパーレのバージンロードを進む新婦とお父さん
この写真も最前列のご家族席あたりからカメラを後ろに向けて撮っているので、ほぼ真正面から二人の表情を写すことができます。

お父さんと腕を組んで入場する新婦
一つ前の写真と角度はやや異なるものの、ゲスト席からでも入場する二人の表情はしっかりと撮ることができます。

入場する新婦の背中を見つめるお母さん
お母さんの立ち位置によっては、バージンロードを進む新婦&お父さんの背中を見守る表情が撮れることもあります。

お父さんから新郎へのバトンタッチ

新婦の手を新郎に差し出すお父さん
これも最前列のご家族席のあたりから撮っています。
新郎の表情は見えませんが、新婦とお父さんの表情はしっかりと写っています。
バージンロードがせまかったり、バージンロードの中ほどでやりとりが行われる場合は、新婦とお父さんの表情も隠れてしまうことがあります。

お父さんから新郎へのバトンタッチ
ゲスト席からだと新婦とお父さんは後ろ姿となり、表情を残せるのは新郎のみになります。立ち位置によっては、新郎の表情も隠れてうまく撮れない場合もあります。

カメラマンの席をもっと前(最前列はご両親の席なので二列目あたり)にすれば新婦とお父さんの表情も撮れるかもしれませんが、やはり立ち位置によるので確実ではありません。
また、前方は親族席になるので事前にご親族の皆さんに事情を説明しておく必要があります。

聖歌〜誓いの言葉など


入場後はしばらく、新郎新婦がゲストに背を向けるシーンが続きます。
この写真は、祭壇(チャペル最前方の牧師がいる段上のエリア)に入って撮っているので、牧師と向かい合う新郎新婦の表情がしっかり写っています。


ゲスト席からだと、前を向いている新郎新婦の表情を撮ることはできません。

ゲストの様子


自由に動くことができれば、プログラムの合間に様々な角度からゲストを撮ることができます。


このように最前列に座っているご家族の表情も撮れます。


ゲスト席からの撮影では、カメラマンよりも後ろの席に座っているゲストのみ、その表情を撮ることができます。


ご家族のようにカメラマンよりも前の席に座っている人の表情は、挙式中はほとんど撮れません。
新郎新婦退場のときはご家族も後ろを向くのでその表情を撮れることもありますが、他のゲストの姿勢によっては隠れてしまうこともあります。

指輪交換・ベールアップ・ウェディングキスなど


新郎新婦が向かい合う場面では、カメラマンはバージンロードの最後方に移動し、二人の横顔がしっかりと見える写真を撮れます。


ゲスト席からでも、新郎新婦の横顔を撮ることができます。

署名


結婚証明書に署名をするシーン。
カメラマンは祭壇の右側に移動して撮っています。


新郎新婦がゲストの方を向いて署名する場合は、ゲスト席からでもその表情を撮ることができます。


新郎新婦がゲストに背中を向けて署名する場合は、その表情を撮ることはできません。

退場

フラワーシャワーを受けながら退場する新郎新婦
カメラマンはバージンロード最後方から撮っています。
新郎新婦の表情がはっきりとわかりますね。

ゲスト席から「撮れるもの」と「撮れないもの」

ここまでのお話を踏まえて、ゲスト席から「撮れるもの」と「撮れないもの」をまとめると、次のようになります。

【ゲスト席からでも撮れる写真】

  • 入場する新郎
  • ベールダウン中の新婦とお母さん
  • バージンロードを進む新婦とお父さん
  • 指輪交換、ベールアップ〜ウェディングキス中の新郎新婦
  • ゲストの表情(カメラマンより後ろにいるゲストのみ)
  • 退場する新郎新婦

【ゲスト席からだと撮れない写真】

  • バトンタッチ時の新婦&お父さんの表情
  • 聖歌〜誓いの言葉の新郎新婦の表情
  • 署名をする新郎新婦の表情(署名台の位置による)

前方ではなく、やや後方のゲスト席から撮る理由

「カメラマンの席は、できるだけ前の方がいい」と考えている人もいるようですが、そうとは限りません。
新郎新婦が向かい合うシーンの横顔や、退場時の二人の表情など、後方の席でしか撮れない写真も意外と多いからです。
これらの写真をもう少し詳しく見ていきましょう。

新郎新婦が向かい合うシーンで、二人の横顔を撮れる

指輪交換をする新郎新婦

カメラマンが前方の席ではなく、やや後方の席から撮影するメリットの一つは、指輪交換やベールアップのような「新郎新婦が向かい合うシーン」にあります。
向かい合う二人の表情がきちんと見える写真を撮るには、ある程度後ろの席じゃないといけないんです

例として、次の写真を見てください。

この写真は、ベールアップのリハーサルをする新郎新婦をご家族席(ゲスト席の最前列)のあたりから撮ったものです。
このように、向かい合う新郎新婦をチャペル前方の席から撮ろうとすると、「新郎の背中越しの新婦(またはその逆)」の写真になり、どちらか一人の表情はほとんど見えない写真になります。

続いて、ある程度後ろのゲスト席から撮った写真を見てみましょう。

指輪交換をする新郎新婦

この写真は、チャペルのちょうど真ん中あたりのゲスト席から撮っています。
このように新郎新婦からある程度離れた席からなら、向かい合う二人の横顔(表情)がきちんと見える写真が撮れます。

 

退場時の新郎新婦+ゲストの表情を残せる

カメラマンが後方の席から撮影するもう一つのメリットは、退場のシーンにあります。

挙式の中で、新郎新婦もゲストも一番にこやかになるのが退場のシーンです。
新郎新婦の表情を見ていると、バージンロードを進むにつれてどんどん笑顔が増えることが多いです。
なのでカメラマンの席が後ろであるほど、ゲストと目を合わせて笑う新郎新婦の表情を撮りやすくなります

このシーンでカメラマンが前方のゲスト席にいると、下の図のように退場の開始直後に新郎新婦はカメラマンの前を通り過ぎてしまうため、二人の後ろ姿しか撮れなくなってしまいます

チャペル俯瞰図

持ち込みカメラマンには新郎側(右)と新婦側(左)どちらのゲスト席に座ってもらうべき?

カメラマンが新郎側(右)のゲスト席に座った場合は新婦側(左)のゲストの表情を撮りやすく、逆に新婦側(左)に座った場合は新郎側(右)のゲストの表情を撮りやすくなります。

新郎側に座っているカメラマンが同じく新郎側のゲストを撮ること自体は可能です。
ただ、ゲストからすればそばに座っているカメラマンに至近距離でカメラを向けられることになり、不快感を抱かせてしまうかもしれません。

なので私は、入退場のタイミング(下の写真)や聖歌斉唱でゲストの視線が歌詞カードに落ちているときなど、カメラを向けても意識されにくいタイミングに自席側のゲストを撮影しています。

退場する新郎新婦にカメラを向ける男性ゲスト

これらのことを踏まえて、事前に左右どちらの席に座ってほしいかをカメラマンと相談しておきましょう。

ゲスト席からの挙式写真は、あなたにとって本当に必要なもの?

今回ご紹介したゲスト席での挙式写真は、あくまでも「私が撮影した場合」のお話です。
カメラマンによっては、ゲスト席からでも私より多くの魅力的な写真を撮る人もいるでしょうし、逆のケースもあるでしょう。

大事なのは「あなたが依頼を検討しているカメラマンが、大きな制限の中でどこまでの写真を撮れるか」を事前に知ることです。
チャペルを自由に動きながら素敵な写真を撮ることのできるカメラマンが、ゲスト席から動けなくても同じように魅力的な写真を残してくれるとは限りません。

依頼を決める前に必ず、「過去に撮影したゲスト席からの挙式写真」をカメラマンに見せてもらうのを忘れないでください。
その上で、ゲスト席からの挙式写真があなたにとって本当に残す価値があるものなのかを慎重に考えてください。

(友人として持ち込んだカメラマンの挙式以外の写真については、↓の記事で詳しく解説しています)