KAORU MATSUMOTO Photographer

ゲストのカメラは、プロカメラマンの邪魔?

ケーキカットをする新郎新婦にカメラを向ける女性ゲスト

披露宴の歓談中のこと。
ゲストが次々と高砂に集まってきて、新郎新婦とのおしゃべりを楽しんでいる。

そんな様子を撮っていた僕の前に、新婦のお父さんが立った。
お父さんは高砂の2人に向かって、少し遠慮がちに手を挙げながら声をかけた。

「こっちも(目線もらって)いいかな?」

座ったままの新婦の視線は、父親を通り越してその後ろにいる僕にとまる。
彼女はお父さんに視線を戻すと、こう言った。

「お父さん、カメラマンさんの邪魔になってるよ。プロにたくさん撮ってもらえばいいんだから、お父さんはそんなに頑張らなくていいの。」

それを聞いて、僕は少し複雑な気持ちになりました。
お父さんが気の毒というよりは、「新婦さんのその考えがもったいない」と思ったのです。

もしかしたら、お父さんが撮った写真の中のあなたは、いい笑顔ではないかもしれない。
「お父さん、早くしてよ」とでも言わんばかりの表情をしているかもしれない。

でも僕は、お父さんが撮ったそんな写真にも、特別な価値があると思うんです。

結婚式から長い時が経ち、元気で若々しかったはずのお父さんが少しずつ老いていることに気づいたときに、あなたは写真の中の自分を、どんな思いで見つめるのでしょうか。
そんな写真を撮ってくれたお父さんのことを、どんな風に思い出すのでしょうか。

写真は、そこに写っているものだけでなく、それを撮ってくれた人のことも思い出させる不思議な力をもっています。
そういう意味では、プロカメラマンはどうあがいてもご家族やお友達には敵わない。

プロカメラマンが撮る写真は、あなたが求めている写真です。
お父さんが撮る写真は、あなたが求めている写真ではないかもしれない。

それでも、たくさん撮ってもらうといいですよ。
鬱陶しければしかめっ面でもいいから。

お父さんだけでなく、たくさんのゲストが撮ってくれた写真を、いつまでも大切にとっておいてください。

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