幼いころのお母さんの手を覚えていますか。
私の記憶にあるのは、
頬をなでてもらったときの
包みこまれるような感触です。
あのころ、とても大きく感じたお母さんの手。
その手に込められた、子どもへの思い。
振り向くと、そこにはいつも
あなたの眼差しが待っている。
たったそれだけのことが
子どもにとっては何よりも嬉しいようです。
今の年齢ならではの子どもらしい姿。
大好きな人に甘えたり
自己主張をしてみたり
なんでもイヤイヤと言ってみたり。
今は見慣れたそんな姿も、後から振り返れば
懐かしくて愛しい姿に思えるかもしれません。
お母さんが大好きな女の子。
ご飯の支度をお母さんがしている間は、お父さんとあそんでいました。
でもしばらくすると寂しくなってきたのか、段々と不安そうな顔に。
その様子を見たお母さんは手を止めて、おんぶをしにきてくれました。
そのまま台所で、ご飯作りを再開。
女の子の満足そうな表情が印象的でした。
散歩中のひと休み。
女の子は、お母さんにジュースを買ってもらいました。
一口飲んだところで、弟にも分けてあげるように言われたお姉ちゃん。
渋々ながらも弟にペットボトルを差し出しました。
そんなお姉ちゃんの気持ちなんてお構いなしの男の子。
一度口をつけたらペットボトルを中々離そうとしません。
その勢いのある飲みっぷりに、とうとうお姉ちゃんはこらえきれず、「全部飲んじゃダメ!」と怒ってしまいました。
お母さんが抱っこしているのは、眠ってしまった0歳の男の子。
そして背中には、まだまだ甘えん坊のお兄ちゃん。
そんなお母さんの荷物を手にとってくれたのが、一番上のお姉ちゃんでした。
大人用の大きなバッグを、ときどき地面に引きずりながら、先を進んでいくお姉ちゃん。
後ろから届く「大丈夫?」の声に、静かに頷いていました。
そうそう、この女の子。
2年前は自分のお気に入りのおもちゃだけを、ずっと手にして歩いていたんですよ。
たっぷり遊んだ公園からの帰り道。
お父さんに抱かれていた男の子が、急に身をよじって「降りる」と言いました。
お母さんのお腹には赤ちゃんがいます。
そのため公園での遊びは、全てお父さんが引き受けていました。
一緒に体を動かして、一緒に砂まみれになって遊ぶお父さん。
男の子も、お父さんととても楽しい時間を過ごしたように見えました。
そんな公園からの帰り道で、男の子は
「ママがいい。ママ、抱っこして」
と言ったんです。
お母さんは、男の子をそっと抱き上げました。
わずかな時間の抱っこだったけれど、
地に足をつけた男の子は、「もっと」とは言いませんでした。
あわただしい毎日の中で、
子育てに奮闘するお母さん。
そんなご自身の姿を
少しだけ離れたところから、
優しい目で見つめるきっかけになることを願っています。
そしていつかお子さんが大人になったら、
この写真をぜひ見せてあげてください。
遠い昔のお母さん、お父さんの姿を
お子さんにも知ってもらうことができたなら、
私にとってこんなに嬉しいことはありません。