「お嫁さんのお手伝いをするんだよ」とママに言われた。
大事な指輪を運ぶのが、わたしのおしごと。
結婚式が始まった。
みんながわたしを見てる。
知らないお兄さん、お姉さんがいっぱい。
カメラもいっぱい。
ママはどこ?
お顔が見えない。
そのとき、わたしの手から指輪が落ちた。
みんなが笑った。
ドレスのお姉ちゃんの大事な指輪。
転がる指輪を追いかけるわたしを見て、みんながまた笑った。
フラワーガール、リングボーイなどの手伝いを、子どもに頼もうと考えている人へ。
ウェディングフォトグラファーであり、保育士でもある私からのお願いです。
「もしうまくできなくても場が和むから大丈夫」なんて言わないでください。
大人の心が和むそのとき、「みんなに笑われた」と傷ついている人がいることを忘れないでください。
子どもは「かわいらしい特別な生き物」ではありません。
あなたと同じ「人」です。
大人と同じように、プライドがあります。
失敗したら「どうしよう」と不安になります。
失敗を笑われたら恥ずかしさで顔が熱くなります。
そしてその日が、嫌な思い出としてずっと胸の中に残ります。
子どもに手伝いをお願いするのなら、不安を少しでもやわらげるために、事前にできることをやってあげてください。
- 挙式本番中のチャペルの写真を見せて、「ここを歩いて、前にいるおじさんに指輪を渡すんだよ」と事前にイメージをさせてあげてください。当日にリハーサルの時間もありますが、そこにゲストの姿はありません。本番と同じ状況を、前もって子どもに教えてあげてください。
- バージンロードを歩く子どもの位置から見て、お母さんがどこにいるのかを知らせてあげてください。子どもが不安そうなら、常に顔が見える場所(バージンロード先の目的地など)にいてもらってください。
- 本番中も含め、「やらないという選択肢」も与えてあげてください。そのときに、代わりの役割をどうするかを考えておいてください。