ウェディングフォトグラファーの松元馨(まつもとかおる)です。
多くの式場では、撮影プランは「100カットで10万円」「400カットで20万円」のように、カット数ごとに分かれています。
400カットと言われて、その写真の量をうまくイメージできますか?
「100カットで十分なのか、足りないのかがよくわからない」という人の方が、きっと多いですよね。
そこで今回は、過去に私が撮った結婚式の写真を「100カットプラン」と「400カットプラン」にあてはめるとどうなるのか、見比べてみましょう。
プラン選びに迷っている人は、一つのイメージとして役立ててください。
※ 実際の私の撮影ではカット数によるプラン分けはしておらず、お渡しする写真は800〜1000カットになることが多いです。今回の内容はあくまでも、ウェディング業界で一般的なカット数をイメージしてもらうために、私の写真をセレクトしたものです。
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100カットの写真と400カットの写真を見比べてみよう
それではさっそく、結婚式の写真を「100カット」と「400カット」にセレクトしたものを見比べてみましょう。
といっても実際に400カット全ての写真を見るのは大変なので、ここでは場面ごとに「それぞれのカット数だとどんな写真を撮ってもらえるか」を見ていきます。
披露宴入場シーン(100カットの場合)
100カットプランの場合、入場シーンの写真は下の「披露宴会場を歩く新郎新婦」の1枚のみとなります。
披露宴入場シーン(400カットの場合)
今度は400カットプランの写真を見てみましょう。
100カットプランと比べてもらえる写真の量が4倍になると、同じ入場シーンでも写真のバリエーションが増えてイメージがガラッと変わります。
※ 新たに増えた写真には青いフレームをつけています。
こちらは新たに加わった写真。
入場を待つ2人の後ろ姿。
カメラを振り返っての1枚も。
こちらは扉のオープン直後に後ろから撮った写真。
こちらは100カットプランと同じ、入場する新郎新婦の写真です。
このように、カット数が増えるとプログラムの真っ最中だけでなく、そこに至るまでの様子も残せることがわかりますね。
ゲストのスピーチ(100カットの場合)
次に、ゲストによるスピーチの場面を見比べてみましょう。
まずは100カットプランから。
まずはスピーチをするお友達の写真。
次にスピーチに耳を傾ける新郎新婦の写真です。
100カットプランだと、スピーチ中の写真はこの2枚のみです。
ゲストのスピーチ(400カットの場合)
続いて400カットプランの写真を見てみましょう。
ここまでは、100カットプランと同じですね。
先ほどの写真とアングルは同じですが、より楽しそうに笑った瞬間の写真も追加されました。
スピーチ中にど忘れをして、「あんなに練習したのに…」とつぶやく女性ゲスト。
ほのぼのとしたスピーチの空気に頬のゆるんだ男性ゲストの姿も。
このようにカット数に余裕があると、一つのプログラム中でも様々な表情を残してもらえたり、想定外のちょっとした出来事の写真も撮ってもらえます。
フォトラウンド(100カットの場合)
最後にフォトラウンド(各卓写真)の場面を見てみましょう。
フォトラウンドとは、披露宴で新郎新婦がゲストテーブルを順番にまわって記念写真を撮るプログラムです。
今回は全テーブルではなく、3テーブルに絞ってご紹介します。
まずは100カットプランの写真を見てみましょう。
このように100カットプランの場合は、カメラ目線の記念写真のみになることが多いです。
フォトラウンド(400カットの場合)
次に400カットプランの写真を見てみましょう。
まずはカメラ目線の記念写真。
この写真は、100カットプランと同じものです。
こちらは新たに追加された写真。
記念撮影直後に表情がゆるんだゲストの姿です。
続いてのテーブルでの記念写真。
これも新たに追加された写真。
お友達に囲まれて嬉しそうな新郎さん。
カメラ目線の記念写真だけでなく…
撮影中につい吹き出してしまった瞬間の写真も増えました。
このようにカット数が増えると記念撮影だけでなく、合間の様子もよくわかりますね。
カット数の少ないプランでは、楽しそうな大笑いの写真を残しにくい
先ほどのスピーチの場面でご紹介した、次の2枚の写真をもう一度見てみましょう。
こちらは100カットと400カットプランの両方に含まれていた写真。
そしてこちらは100カットプランにはなく、400カットプランで新たに追加された写真です。
これを見て、「100カットプランには楽しそうな大笑いの写真を入れずに、軽く微笑んでる写真を選んでいるのはどうして?」と疑問に思う人もいるでしょう。
女性(新婦さん)にとって、自分が大笑いしている写真は好みがはっきり分かれます。
「楽しい時間が思い出せて嬉しい」という人だけでなく、「大笑いをしている自分の写真はちょっと恥ずかしくて人に見せたくない」という人も意外と多いんです。
微笑んでいる写真と大笑いの写真の両方を残せれば一番いいのですが、100カットという限られたカット数の中では1場面ごとに色んな表情の写真を残す余裕はありません。
「どちらか一つを選ばなければならないなら、大笑いよりも微笑みの写真の方が無難」とカメラマンは考えるわけです。
カット数を増やしたところで意味がないケースとは?
ここまでの比較で、カット数に余裕があると「プログラム前後の様子」や「様々な表情」の写真をより多く残せることがわかりました。
ただし、これはあくまでも私が撮った場合の話です。
あなたが依頼するカメラマンが「とにかく新婦の美しい姿を1枚でも多く撮ってあげたい」と考える人なら、カット数と共に増えていくのは主役の絵になる写真です。
これは、どちらが正しいという話ではありません。
大事なのは、あなたが撮ってほしいものとカメラマンが撮っているものがきちんとかみ合っているかどうか。
そこが食い違っていると、どんなにカット数を増やしても満足の写真にはなりません。
予算の都合で少ないカット数を選ぶ人は、カメラマンのセレクトの傾向をチェックしておこう
カット数が多い方がいいのはわかっていても、予算の都合で少ないカット数のプランを選ぶ人もいるかと思います。
ここまでの写真の比較で見てきたように、カット数の少ないプランでは1場面ごとに様々な表情の写真を残してもらうことは難しいです。
写真をもらってから後悔することのないように、事前にカメラマンによる写真のセレクトがあなたの好みとマッチしているかをチェックしましょう。
具体的なチェック方法ですが、「同じカメラマン」が撮った「同じプラン」の写真を事前に全て見せてもらいましょう。
例えば100カットプランを検討している人は、あなたの担当カメラマンが過去に撮った1件の結婚式の100カットの写真全てを見せてもらうこと。
その上で感じた不満があれば、「もっとゲストの様子を撮ってほしい」「すました顔より、もっと楽しそうな表情を残してほしい」と要望を具体的に伝えて、自分の好みに寄せてもらいましょう。