KAORU MATSUMOTO Photographer

「私、意外といいかも…」|被写体さんの声から#01

ポートレート撮影に来てくれた一人の女性。後日送ってくれた感想の中で、写真を見たときの気持ちをこう語っていました。

できあがった写真を最初は薄目で、次はきちんと見て、「やっぱり自分の理想とは違うところもあって、そこに目を向けると落ち込みそうになるけれど、でも意外と私も見られるのでは?意外と良いのでは…?」と隙あらばちらちらと写真を見るように…笑

これを読む限り、長年抱えてきたコンプレックスは変わらずそこに写っていたんですよね。なのに「私、意外といいかも」って思えたのはどうしてなんだろ。

それはきっと、今回の撮影で気づいた自分の美点(撮り手の僕が伝えたこともご自分で感じたことも含めて)を、この女性が丁寧に受け止めてくれたからだと思うんです。

これ、当たり前のようで意外と難しい気がします。
人から褒められたときに、つい謙遜したり照れ臭さから適当に流してしまうことって意外と多くないですか?

以前ポートレート撮影に来てくれた方が、こんなことを話していました。

自分の笑顔に、昔から強いコンプレックスがあるんです。他の人から笑顔を褒められたこともあるけど、そのときはちょっと嬉しくなっても、改めて自分の笑顔の写真を見ると「やっぱり可愛くないよなー」ってモヤモヤした気持ちが強くなっちゃう。

好きになれないところは嫌でも目につきますよね。
それでいいと思うんです。
撮り手の僕だって、たった一回のポートレート撮影で、長年のコンプレックスを解消できるなんて考えていません。

それでももし、他人が感じた「ここが素敵」っていうあなたの印象も胸の片隅にしまっておけたら。
好きになれない自分だけでなく、他の人が好きって言ってくれたその姿も自分だと思えたら。

きっと写真の中の自分を見るときに、感じ方が少し変わってくる。
その心の揺らぎがよく表れているのが、冒頭の女性の言葉です。

ちなみに僕のポートレート撮影では、終わった後に一枚の写真をチェキのフィルムに現像してお渡しして「こんなところが素敵だと思いますよー」とお伝えしてから、被写体さんとバイバイしています。

何年か経って、忘れたころに引き出しの奥からぴょこんと顔を出すチェキ。
「私のこんな一面をいいって感じる人もいるんだなぁ」って、ぼんやり思い出してもらえたらいいなー。


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